寒さにも虫にも強いホウレンソウ!栽培方法についてわかりやすく解説

日本人に深く愛されるホウレンソウ

栽培も実は比較的簡単で、一般の家庭菜園でも栽培できるほどです。

ここでは栽培未経験者だとしてもすぐに始められるくらい

ホウレンソウの栽培方法についてわかりやすく解説していきたいと思います。

 

多くの日本家庭で登場するホウレンソウですが

原産地は西アジアでアフガニスタンやトルコ、イランの付近から

ヨーロッパや中国に広まったとされています。

 

ヨーロッパに渡った「西洋種」と中国方面に渡った「東洋種」があり

それぞれ特徴が異なります。西洋種は葉が分厚くアクが強く出るのに対し

東洋種は葉が薄く赤い株元が特徴です。味にも違いがあり、

西洋種は炒めものなどの高熱調理に適し、おひたしに向くのは東洋種です。

 

また、最近だと生食用に改良された「サラダほうれんそう」や

ウイルス抵抗性がありアメリカなどで栽培されている「サボイほうれんそう」など

多くの種類のホウレンソウが栽培されています。

 

ビタミンやミネラルが豊富に含まれていることから

栄養価の高い食材として多く消費されている野菜です。

 

ほうれん草のお浸しの画像

 

栽培のメリットと難点

栽培のメリットとしては

・高温期であれば30日程度で収穫が可能

収穫までが比較的短く、年に4~5回の作付も可能であること

・寒さに強く、耐病性にも優れており育てやすいこと

があります。

 

一方、栽培の難点としては

・暑さに弱い

・発芽率が良くない

主にこの2点です。

 

短期間で押さえるべきポイントも少ないので

一般家庭でも家庭菜園としても始めやすい野菜でもあります。

 

 

 栽培方法

では、ここからは具体的な栽培方法についてまとめていきたいと思います。

 

まず、準備として以下のポイントに気をつけてください。

 

1.酸性土壌を苦手とするので、石灰を入れて中性に酸度調整すること(pH6~6.5が目標

※pHの調べ方は酸度計や試験紙を使用する方法や、育てたい場所に生えている草花を調べる方法などがあります。

 

2.生育適温は15度から20度。25度以上になると病害のリスクが高まる

→そのため夏期の栽培は基本的に難しい

 

3.収穫までの期間が短いので、一度に多くの種をまくのではなく

複数回にわけて種をまくと長期間の収穫ができる

 

4.根が深くまで伸びるので排水の悪いところは避ける

 

虫害も少なく土作りさえしっかりとできていれば比較的簡単に育つので

上記のポイントは着実におさえておくようにしましょう。

 

 

 

堆肥と基肥は1週間前に施し、よく耕しておくようにします。

堆肥は十分腐熟したものを1㎡あたり2kg程度

基肥は必要量(チッソ成分で1㎡あたり2~3握り程度)を全層に施します。

 

高温期は

・立枯病(カビが原因で起こる伝染性の病気で、茎が腐敗する)

・萎凋病(カビによって葉が黄色くなり枯れていく病気)

・株腐病(土に触れた葉が濃茶褐色になり腐敗する。多湿条件で多発する。)

 

等の土壌病害の発生が問題となることから、土壌消毒を施すと良いです。
但し、
クロルピクリン等の薬剤消毒は効果が高い反面、
使用方法を守らないと人体に悪影響がありますのでご注意下さい。 

 
 

 

 品種選択

 充分な土作りができたら、つぎは品種選択です。

 

春期や秋期の低温期は低温伸長性の良い品種を選択し、

5~7月は晩抽性の品種を選択します。

また、高温期は発芽や生育の不揃いが問題となるため、

発芽揃いが良く、高温条件下でも伸長性の良い品種を選択すると良いでしょう。

 

初めて栽培される方でしたら、低温伸長性の品種から育てることをオススメします。

具体的には「オーライ」や「トライ」「牛若丸」という品種は

比較的育てやすいと言われています。

 

また、家庭菜園向けに販売されている品種は

基本的に育てやすい品種が選ばれているので失敗が少ないです。

なので、まずは「秋まき」の品種で育てやすいものから

チャレンジしてみると良いでしょう。

 

 

種まき作業

種まき作業は、まっすぐな溝を作り、等間隔で直まきをします。

(※すじまきと呼びます。)

・畝幅は60~90cm程度、高さは5~10cm程度

・株間(種同士の間隔)は6~10cm程度

・条間(溝の間隔)は15cm程度を理想とします。

60cmのプランターの場合なら2条まきは出来ます。

 

図解画像

 

種をまいたら、種に軽く土をかぶせて手で押さえて種と土を密着させます。

表面に水たまりができるまで、たっぷりと水をあげます。

その後、発芽が揃うまでの数日間は土壌の表面が乾燥しないように注意しましょう。

 

発芽をしたら本葉が4枚程度揃うまでは水やりを避けて乾燥状態を保ちます。

立枯病を防ぐためです。4枚程度揃ったら再び水やりをして、生育を促進させます。

収穫7~10日前からは株元の腐敗防止と株の充実のため、水やりは控えていきます。

 

 

 

虫害は微少ではありますが考えられるため対策を講じます。

近視外線カットフィルムや防虫ネット(1mm目)を被せて対策します。

 

低温期は

・べと病(多湿により発生しやすくなる羽毛状のカビ)と

・ホウレンソウケナガコナダニ

(新芽部分に寄生し、奇形となる。腐熟不十分の堆肥を使用すると起こりやすい。)

の発生が問題となることが多いので、

生育初期から定期的に防除していき、予防していきます。

 

 

 

遮光については、ホウレンソウは暑さに弱いので

地温の上昇には気をつける必要があります。

 

高温期であれば遮光資材を施すと良いですが、

種をまいて10日~14日程度経過したら遮光資材は取り除くようにします。

そうすることで収穫量を上げることができます。

 

 

 

本葉5~6枚のころから間引きをしていきながら、

草丈25cm前後を目安に収穫を開始していきます。

 

収穫は気温の低い朝夕の時間帯に行うようにしましょう。

特に夕方に収穫する際は日中の温度上昇による品質低下を防ぐため

遮光資材を被せてホウレンソウの温度を下げておくようにしましょう。

品質面でも労力の面でも朝の収穫をオススメします。

 

収穫後は予冷庫に入れ、ホウレンソウの温度を低く保つようにすることで、

品質保持や事故品防止につながります。

 

 

 

ホウレンソウは寒さに強く、霜が降りるほどの気温でも

繊維が柔らかくなり甘みが増します。

寒冷紗(蚊帳にも使われるガーゼのようなもの)や不織布を使用することで

生育を促進したり葉の傷みを防げたりメリットがあります。

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

先ほどもお伝えしたように、ホウレンソウは虫害が少なく、

収穫までの期間も短いので比較的簡単に育てることができる野菜です。

丁寧な土作りと微細な部分の管理だけ心がけて育てていくようにしましょう。

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